art: 空海と密教美術展
国宝 「聾瞽指帰(ろうこしいき)」
空海筆 平安時代・8~9世紀
和歌山・金剛峯寺蔵
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圧倒された。平安時代に、留学僧として唐に渡った空海による書は力強く、大きなことを成し遂げようとする意志の力とひたむきさを感じさせるものだった。
当時は、現代とは比べものにならないくらい、死が身近に、それこそ隣にあったはずだし、伝達手段も限られている。そのような中で、生き延び、目的をかなえるために、貴族は仏様の力におすがりしたのだろう。その結晶が今回、展示されている仏像などだ。
どの仏像も彫刻が繊細で、表現が豊かで、華やかさがある。当時、仏像の制作に携わった人々の願いの深さが伝わってくる。医療も発達しておらず、物の怪の存在が信じられていた時代のことだ。なんとなくではあるが、理解できる。
文化は宝だ。これだけのものが日本に残っていることに驚異を感じる。多くの人が大事にしてきた結果だろうし、これからも劣化を防いでますます大切にしなければならない。そこに宿る願いや思いはその時代に生きた人々の足跡だ。文化は人が生きた証なのだ。
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国宝「増長天立像(四天王のうち)」
839年
木造彩色 高さ:約1.8m
京都・東寺蔵
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コメント
運慶に少し興味をもちはじめましたので、この時代の彫刻にも興味があります。
ところで、四天王像を見るとすぐに増長天(多分。。。)のファッションの肩のところに目がいくのですが、あれってライオンですよね。
何かの本にライオンをヘラクレスのシンボルとして、仏教のルーツを紹介していらしたのが印象的でした。
投稿: red_pepper | 2011年10月26日 (水) 07:27
肩にライオンがいますか?
私には、三つ編みのようなものが乗っかっているようにしか見えないのですが。。
ヘラクレスと仏教につながりがあるとは思いませんでした。
本当に、人々の交流があれば情報は行きかいますし、
そこから生まれるものがあるのですね。
世の中に関係ないものなんてないのではないかとすら思います。
投稿: hirari | 2011年10月28日 (金) 11:58